会議や雑談の中で「これだ!」と思えるアイデアや意見と出会うことができたとしても、いざ資料を作ってみたら、何だかイメージしていることが伝わらない・・・。
あなたにも、そのような経験があると思います。
そんな「頭の中を可視化できない」壁を突破する為の方法を教えます。
あなたがITコンサルタントやシステムエンジニアとして働いているのであれば、UMTPというソフトウェア開発に必要なモデリング技術を認定する資格試験を受けることもオススメです。
シーケンス図やフロー図というのは「なんとなく」なら誰でも描けるのですが、お作法を知っている人と知らない人では表現力や分かりやすさに大きな差が出てきます。
要件定義やシステムの設計工程で作られるドキュメントは後続工程の品質にも影響するので、あなたがシステム開発の上流工程で活躍をしたいのであれば、ぜひ勉強をしてみてください!
頭の中に「絵」を描くスキル=図解思考の技術
まず、資料とは「文章」と「図表」で自分の伝えたいことを整理したコミュニケーションツールです。
もちろん文章で要点を押さえた論理構成で分かりやすく表現することも大事ですが、視覚的な情報で正に「一目で」言いたいことを伝える方が効果的な場合もあります。
言語的な表現だと読み解く苦労がある
カスタマーセンターにおける受電から担当部署への引き継ぎまでの流れを例に、「図解の効果」を示したいと思います。
あなたはカスタマーセンターに派遣された初日に以下のような説明を受けたとしましょう。

消費者からカスタマーセンターへ入電が入るので、まずは用件を伺います。カスタマーセンターで整備されているマニュアルを使って対応が可能なら、マニュアルに応じて対応します。マニュアルで対応不可能な問い合わせ内容なら、必要に応じて担当部署に引き継ぎます。
上記の量であれば、それ程の苦労はありません。
しかし、実際の業務ではもっと長い説明を受けることがあるでしょう。
その際に一言一句漏らさずにメモに書き落そうとしても、現実的には不可能です。
仮に書き留められたとしても、メモを残すことが目的になってしまって肝心の中身が頭に入っていないことがあります。
図解することで要点は押さえられる
上記の話を、カスタマーセンターで顧客応対をする人の目線で図示すると以下のように表現することができます。

文章で理解しようとしていたことを「図や表を使って考える・理解する」ことができるようになります。
これが、「図解思考」という考え方です。
前述のカスタマーセンターでの対応も、極論すれば3ステップでしかないのです。
ちなみに「担当部署引き継ぎ」は必要に応じて発生する作業なので、点線で表現している等、自分の中で判断できるように表現に変化を付けています。
私が「図解思考」を知ったのは、この本のおかげです。
端的なメモと言えば「箇条書き」を思いつくと思いますが、この本には箇条書きの悪い点と「図解メモ」の良い点、図解スキルを磨く上での考え方や図解例・テクニックを解説してくれています。
価格も高くない割に実務に役立ったコスパの良い本です。
図解思考で作成したモデルを資料に昇華させる
図解思考を元に頭の中で図示できたら、それをパワーポイントに落とすだけで資料の完成です。
ただ、他人とのコミュニケーションツールである資料に落とす際には目的に応じて情報を付与する必要があります。
例えば、先のカスタマーセンターでの問い合わせ対応を新人に教える際は以下のようなフロー図になっていると、関係者や業務の流れが明確化することができます。

このように、現実の物事や抽象的な物事を図示するスキルは「モデリング技術」と呼ばれています。
特にITの世界では、システム設計の工程で「モデリング技術」を活用する機会が多いです。
目に見えないシステムの中で、それぞれのプログラムがどのような関係性があるのか、データはどのようにシステムの間を流れていくのか・・・。
目に見えない内容について、プロジェクトの全員が同じ理解をしていることは、まずあり得ません。
コンサルタントやシステムアーキテクトと呼ばれる人は、図解思考により抽象的な要件や機能概要を脳内で図示化します。
モデリング技術を用いて他人と意思疎通できるように具現化しているのです。
ちなみに、この思考やスキルはIT・業務の領域に限らず、戦略やマーケティングの領域でも役に立ちます。
目指すビジョンを描き従業員のモチベーションを上げることや、画期的なPR手法を説明する際は、文字よりもインパクトのある図や画像を用いた方が直感的に理解できることもあるでしょう。
あなたが今後、どのようなキャリアを進むにしても「図解思考の技術」は無駄になりません。
まずはこの本を読んで、次の会議では「図解メモ」を取ることで効果を実感してほしいと思います。