私自身も心理学を専攻していた文系出身の人間です。
心理学を専攻するなかで、実験や統計解析のために簡単なプログラミングを行うこともありました。
ただ、当時の私はITに抵抗感と苦手意識しかなかったので、
最低限の単位取得に向けた勉強に留めて可能な限りプログラミングを避けてきました・・・。
そんな私がIT領域を中心としたコンサルタントとして働くなかで、
プログラミングを学び、磨かれたと感じる能力をお伝えしたいと思います。
ITとビジネスが切り離せない時代
デジタル戦略・デジタルトランスフォーメーション(DX)やAIなどの必要性は叫ばれるなかで、コンサルタントとして働く人間がITと向き合う機会がとても多い時代となりました。
財務会計に特化したり、人事評価制度策定に特化するなど、ITと比較的触れずとも成り立つコンサルタントとしての専門領域を定めて、そのスキル・知識・経験を尖らせていく場合は別かもしれません。
ただ、それはそれでリスクもあります。
財務会計領域については、会計士がAIに代替されるという話はあなたも耳にされたことがあるでしょう。
クライアントと接して改善策を提案・実行していく領域はAI単体では難しいでしょうが、財務分析についてAIが代替してくれることは想像に難くありません。
人事評価制度設計についても、ITを絡めずにゼロから評価制度を構築することよりも、そのようなパッケージ製品を組織に導入するうえでの製品選定やカスタマイズ要件の有無をご支援する機会の方が多いと思われます。
クライアント企業とコンサルティングファームに情報格差があった時代とは違い、MBAホルダーやポスト・コンサルが事業会社に普通に在籍してノウハウや経験を事業展開に活かしています。
それに、ベンチャー界隈のスピード感のある業界動向については、コンサルタントといえども、大企業相手の仕事をしていれば正直、疎くなりがちです。
コンサルタントよりベンチャーキャピタルや起業家の方が精通していることでしょう。
知識だけでコンサルタントが戦える時代は過ぎ去りつつあります。
プログラミングで得られる「実行力・推進力」と「先見力・修正力」
そのような中でコンサルタントに求められているのは、 現場での「実行力・推進力」と、走りながらも目まぐるしく変化する状況に戦略や戦術を適応させていく「先見力・修正力」といった点に価値が移動していると考えています。
コンサルタントがプログラミングを学ぶことで、これらの力が大きく磨かれていくと考えています。
具体的に、私が得たプログラミングによる効用は以下の3点です。
- 論理思考強化(プログラミングによるロジカルシンキング習得)⇒「実行力・推進力」&「先見力・修正力」
- 提案力強化(IT自体への理解促進)⇒「先見力・修正力」
- 施策実現力強化(SE/プログラマとのコミュニケーション土台)⇒「実行力・推進力」
これらの力により、これからのコンサルタントに重要な「提案→実行→実行しながらの修正」のベースとなる力が磨かれました。
では、それぞれの効用について説明していきます。
論理思考強化(プログラミングによるロジカルシンキング習得)
まずは、ビジネスパーソンとしての基礎スキルと謳われて久しい論理思考力の強化です。
プログラミングの世界では以下の言葉が常識となっています。
プログラムは思った通りには動かない。書いたとおりに動くのだ。
Any code doesn’t run as you thought, run as it wrote.
この言葉の通り、
- システムで処理するデータはどのような形式なのか
- データをどのように受け取るのか
- どのように処理(データ加工)するのか
- どのように出力するのか
これらの全てが整合性を保てるように、システムの処理を考えて、「プログラムとして完成させるためには、どのようにプログラミングを行えば良いのか」を考える必要があります。
更に言うと、現代のITシステムは複雑化しておりシステム間の連携が当然となっています。
そこで考える必要があるのはシステム間でのコミュニケーションがちゃんとできるのか、ということも加わってきます。
相手は英語で話しかけられるのを待っているのに、日本語で話しかけても通じないように、システム間でのコミュニケーションが成り立つのかを確認する必要があるのです。
このようにシステムを開発するのは、とても神経の使う難しい仕事です。
その分やりがいがあるのは確かですが、システム開発の実態を知らない人が「売上データをいい感じに分析して、適正発注数と在庫数を算定して」と思っていても、それを実現するには途方もない「論理の積み重ね」があるのです。
「論理の積み重ね」で実現されるシステム。
システムを開発するプログラミング。
プログラミングを通じて行うことで、論理思考力が否応もなく鍛えられるのです。
提案力強化(IT自体への理解促進)
プログラミングによってIT自体の理解が深まることで、コンサルタントとしてクライアントに提案できる幅が広がります。
戦略立案から業務設計まで、現代はITとビジネスが強く結びついています。
あなたも公私問わず日常的にITと接しているでしょう。
しかし、ITという文明の利器を使う人間と作る人間では、ITに対する大きな知識と情報の格差があります。
先の例で「適正発注数を算出して」という無茶ぶりを記載しましたが、この無茶ぶりは普通に起こりえます。
(そもそも「適正発注の定義って何?という点から会話しましょうよ」と思うのですが・・・。)
ここで「何となく簡単そうだし、できそうだな・・・。」と思って、易々と「できます!」 と言ってしまうと自分の首を絞めることにしかなりません。
現在のシステム構成はどうなっているのかという点やシステムを実現するプログラムがどのような作りになっているのかを正確に把握していないと、実現可否は判断できません。
現システムではできないとしたら、実現するためのシステム改修内容を考らることを求められるのですが、ITを理解していないと想像もできません。
システムの改修と聞くと壮大なイメージが浮かびますが、極論すればどんなシステムも小さなプログラムの積み重ねです。
プログラムはどのようにして動くのか、プログラムを動かすために必要な道具はなにか、といったことをプログラミング学習を通して理解することで、ITと関連した提案を行う力の基礎を鍛えることができます。
施策実現力強化(SE/プログラマとのコミュニケーション土台)
最後の3点目は、施策実現力としてSEやプログラマの方々とコミュニケーションをする土台ができあがります。
「ビジネスとITが密接に繋がっています⇒ITはプログラムの積み重ねです⇒プログラムは SEやプログラマという方々が作ります」ということで、システムを作ってくださる方と会話ができるので、オーダーを伝えやすくなったり、 IT関連課題の対応について議論できたりします。
また、有事の際には自社の役員クラスにITのことをわかりやすく報告する必要もあるでしょう。
このときに開発ベンダーのSEやプログラマが言っていることを理解して咀嚼・翻訳するカも非常に重要です。
システム障害などが発生した際、開発ベンダーの人間はあくまでIT目線での事象報告がメインです。
ですが、発注元の会社ではビジネス・事業という観点での報告が求められることがあるでしょう。
社外の開発ベンダーの報告と社内の役員への報告には、さながら異文化を繋ぐ力が必要です。
IT文化の理解をするための土台とビジネス文化への翻訳をするための土台としての力がプログラミングを学ぶことで培われます。
Webアプリケーションの開発のススメ
簡単なWebアプリケーションの開発を勉強してみると、現代で使われるIT技術要素の大枠に触れることができるので非常に有益です。
私自身も新人時代にEclipseという開発用ツールを使ってJavaやJavaScriptというプログラミング言語でWebアプリケーションを開発する勉強をしました。
Javaというプログラミング言語を学びながら「オブジェクト指向」というプログラムを作るうえでの考え方を学んだり、Webアプリケーションを開発するなかでURLやHTTPSという通信やOracleなどのデータベースについて学んだり、と自然に基礎的なIT知識を身に付けることができます。
ただ、いきなり難しい専門書を読むと一気にアレルギー症状を発症させてしまうでしょう。
「少しプログラミングを学んでみようかな!でも、何を読めば・・・。」
そう思っているあなたに、私が実際にお世話になった「スッキリわかる」シリーズをオススメしたいと思います!
RPGを題材にしたような本の構成となっており、少しずつJavaというプログラミング言語やITについてを学ぶことができます。
ある程度プログラミングを学んだ後、スッキリわかるサーブレット&JSP入門 第2版 (スッキリシリーズ)でWebアプリケーションについて学習すれば現場で耐えうる知識と経験を身に付けることができます。
この記事を読んでくださったあなたがITやプログラミングについて学んでくださり、今後の日本ビジネスを支えるデジタル人材として共に頑張っていければと思います!
コンサルタントとしてプログラミングを学ぶなら
最後に、コンサルタントとして実際に働きながらプログラミングを学ぶ道も残されていることをお伝えしたいと思います。
それはIT領域に強い総合系コンサルティングファームに新人コンサルタントとして入社することです。
以下のファームでなら新人がプログラミングを学ぶ機会もあって、かつ、収入も労働環境改善にも力を入れているので一考の価値ありだと思います。
- アクセンチュア
- NRI
- アビームコンサルティング
- ベイカレント・コンサルティング
- スカイライトコンサルティング
ホワイト企業と呼ばれるコンサルティングファームについては、以下の記事でまとめています。
