「社会人として働き続ける意味を見失った」
「自分には、もっと輝ける場所があるのではないか」
忙しい日々と向き合う中で、このように思うことはありますよね。
筆者「きつね」も迷います。
なぜ働くのか、なぜ現在の職場なのか。
そんなとき、ふと手に取る1冊が今回ご紹介する『道をひらく』です。
経営の神様と呼ばれる現パナソニックグループの創業者である松下幸之助が著者。
心に響き、生きる道を導いてくれるような言葉が並べられた1冊です。
『道をひらく』のおすすめ読者
- 新たな挑戦を目の前に歩む道の指針を求める方
- 長く忙しい社会人生活に疲れ、働く意味を見失った方
- 管理職・マネージャーとして組織や部下を導く人格や考え方を学びたい方
『道をひらく』概要
「経営の神様と謳われる松下幸之助さんからの教え」と聞くと、堅苦しくて難しい言葉が並んでいる本を想像される方もいるかもしれませんね。
『道をひらく』は短い文章がまとめられた短編集です。
1つ1つの文章も、優しく語りかけてくるようで、難しいビジネス用語はありません。
自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。
どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。
自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかえがえのないこの道。
(中略)
自分だけしか歩めない大事な道ではないか。
自分だけに与えられているかけがえのないこの道ではないか。
道をひらく, p10~11
自分の歩む道の正しさに迷ったとき、忙しい日々に疲れたとき、パラパラと本をめくって、気になる文章を読んでみる。
そんな読み方をオススメします。
著者:松下 幸之助(まつした こうのすけ)
23歳で現パナソニックグループの前進となる旧松下電器製作所を立ち上げました。
その経営手腕から「経営の神様」と称えられています。
実業家としてのみならず、「Peace and Happiness through Prosperity=繁栄 によって平和と幸福を」のスローガンを掲げたPHP研究所創設や松下政経塾を通じた政治家育成にも取り組んでおられました。
著者情報
- 松下 幸之助(まつした こうのすけ)
- パナソニック(旧松下電器産業)グループ創業者
- PHP研究所創設者
- 松下政経塾創設者
『道をひらく』目次・章構成
1968年に発売された本書。
個人の置かれた環境や生きる道との向き合い方に始まり、国の発展まで見据えた松下幸之助さんの哲学に触れられます。
- 運命を切りひらくために
- 日々を新鮮な心で迎えるために
- ともによりよく生きるために
- みずから決断を下すときに
- 困難にぶつかったときに
- 自信を失ったときに
- 仕事をより向上させるためににしない
- 事業をよりよく伸ばすために
- 自主独立の信念をもつために
- 生きがいある人生のために
- 国の道をひらくために
『道をひらく』要約詳細
各章の内容をまとめていきます!
運命を切りひらくために
自分には自分に与えられた道がある。天与の尊い道がある。
どんな道かは知らないが、ほかの人には歩めない。
自分だけしか歩めない、二度と歩めぬかえがえのないこの道。
(中略)
自分だけしか歩めない大事な道ではないか。
自分だけに与えられているかけがえのないこの道ではないか。
道をひらく, 道, p10~11
「自分だけが歩める道と向き合い、素直・謙虚を忘れずに生きていくことの大切さ」を説いている章になります。
与えられた容姿や才能、環境などに不平不満をこぼすこともあるでしょう。
他人を妬ましく思うこともあるでしょう。
それでも、志を立ててあなたにしか歩めない道を歩むこと、歩めることがどれほど尊いものか。
一度ゆっくり考えるきっかけになると思います。
自然にある草木や動植物が多様でありながら、摂理に則って生き抜いている。
同じように人間も、欲に溺れず、真剣に生きていきたいものですね。
日々を新鮮な心で迎えるために
きのうはきのう、きょうはきょう。
きのうの苦労をきょうまで持ち越すことはない。
「一日の苦労は一日にて足れり」というように、きょうはまたきょうの運命がひらける。
きのうの分まで背負ってはいられない。
毎日が新しく、毎日が門出である。
道をひらく, 日々是新, p35
毎日が新しい日であり、日々を素直に謙虚に生きていく。
子供のころに教わるような当たりまえのことが、大人になると響くのです。
視野を広げ、他人を言動を鏡として自分の振る舞いを見つめなおす。
そうして日々のなかで工夫と改善を繰り返していく。
自分自身の個性を活かせる、適性がある本領で良いことを積み重ねていきたいものですね。
ともによりよく生きるために
有為転変のこの世の中、よいときにもわるいときにも、いかなるときにも素直に謙虚に、おたがいに心を通わし、思いを相通じて、協力し合ってゆきたいものである。
道をひらく, 心を通わす, p77
人と人は、何かしらの縁があって出会う。
いま一度、人とのつながりを大切にしよう。
この章を読んで、そう思いました。
縁あって出会った人とつながりを大事して、挨拶から始まるコミュニケーションが人間関係の潤滑油になる。
忙しい朝。
どうしても挨拶が億劫になることもありますよね?
それでも挨拶をするだけで他人とのつながりを円滑にできるものです。
他人の長所短所を受け入れて、互いに支え合うことが生きるということ。
辛いときだからこそ、忘れずにいたいです。
みずから決断を下すときに
進むもよし、とどまるもよし。
要は断を下すことである。
みずから断を下すことである。
道をひらく, 断を下す, p80
人生において判断を下さないといけない状況は公私ともに訪れます。
例え60%の確度による判断であったとしても、判断することがまずは大事。
判断をしたら、あとは100%の力で実行していきましょう。
判断を間違えることもあるかもしれません。
目先の利益に心が惑わされることもあるかもしれません。
それでも根気よく一歩ずつ、自問自答を繰り返しながら社会のために役立つ判断と行動を心がけて日々を生きていきたいと思いました。
困難にぶつかったときに
やはり次々と困難に直面し、右すべきか左すべきかの不安な岐路にたちつつも、あらゆる力を傾け、生命をかけてそれを切りぬけてゆく――そこにこそ人間としていちばん充実した張りのある生活があるともいえよう。
道をひらく, 岐路にたちつつ, p111
心配や困難に直面することのない人生はないでしょう。
そのようなとき、心配や憂いを前向きに捉え、あらたな創意工夫・成長の機会とできるようにしたいと思いました。
困難なときも耐え忍び、着実に力と知恵を蓄えるように過ごしていれば、いつか乗り越えられる。
乗り越える決意をする。
最も大事なのは「決意」ですね。
自信を失ったときに
失敗することを恐れるよりも、真剣ではないことを恐れたほうがいい。
真剣ならば、たとえ失敗しても、ただでは起きぬだけの充分な心がまえができてくる。
道をひらく, 転んでも, p123
「七転び八起き」という言葉をご存知ですよね。
何度転んでも負けずに、立ち上がる姿と表す言葉ですが、「立ち上がれば良い」と呑気に捉えてはいけません。
真剣に物事と向き合っているからこそ、転んでもただは起きぬ心構えができてくるのです。
成功するまで真剣に、一人の努力をしてやろうじゃないですか。
ときには一人の知恵だけではなく先人や仲間の知恵も借りようじゃないですか。
必ず一筋の陽がさしこみ、暗雲は立ち消えると信じて。
仕事をより向上させるために
大切なことは、世の中にやらせてもらっているこの仕事を、誠実に謙虚に、そして熱心にやることである。
世の中の求めに、精いっぱいこたえることである。
おたがいに、自分の仕事の意義を忘れたくないものである。
道をひらく, 自分の仕事, p145
わたしたちの仕事は、世の中に求める人がいるから成り立っている仕事です。
仕事をしている「自分のもの」という誤解をしては野心に囚われてしまう。
さまざまな選択肢がある現在ですから、そのことを忘れずにいたいですね。
仕事は世の中のためでもありながら、自分自身で創意工夫をすることも、また大切なこと。
短い時間で成果を出せるように工夫をおこない、小さなことにも「けじめ」をつけるように締めるところは締める。
どのような職業でも、報酬をいただいているプロとしての自覚を持って仕事と向き合いましょう。
仕事に向き合い「やりきった!」という感覚を毎日抱いて眠れるような日々を目指したいと思いました。
事業をよりよく伸ばすために
平凡が非凡に通ずるというのも、この何でもないと思われることを、何でもなく平凡に積み重ねてゆくところから、生まれてくるのではなかろうか。
道をひらく, 何でもないこと, p177
事業をより良いものにするという章ではありますが、経営者に限らず学びはあります。
仕事をする一人ひとりが自分の事業を営んでいる。
そのように捉えることで、身近なお客様や周囲の同僚に対しても感謝の気持ちを抱くことがどれほど大切かを考えさせられました。
驕ることなく謙虚に、周囲の人々から学びを得て、感謝をして、正しい方法で成果をあげる。
結果として報酬をいただく。
結局はこの繰り返しでしかないのですね。
自主独立の信念をもつために
きびしさこそ、自得への第一歩ではないか。
たくましい自立への道を、みずからさとる貴重な道しるべではないか。
勇気を出そう。
元気を出そう。
道をひらく, 自得する, p193
一人の人間として、自立できてるか。
こう問われると回答に悩む自分がいます。
もちろん生活はできているけれど、責任を社会や他人に押し付けず、現状が恵まれているということに感謝をできているか。
現状にあぐらをかくことなく、己と「こわさ」を知り、精進し続けることができているか。
成人したからこそ、身にしみる言葉が並べられている章になります。
生きがいがある人生のために
勤勉は喜びを生み、信用を生み、そして富を生む。
人間のいわば一つの大事な徳である。徳である限り、これを積むには不断の努力がいる。
道をひらく, 勤勉の徳, p234
「生きがい」とは何か。
物の見方一つで、世の中との向き合い方は変わります。
素直に真実を見つめ、他者とも教え合う精神を持ちながら、人生の終わりを考えて日々を生きていく。
勤勉の習性を身につけ、心を磨いていく。
勤勉といっても、座学だけ終わらせず自らが体験をして感じるものを増やしていく。
そのような生き方をしていくことで、きっと「生きがい」が見えてくるのだと思います。
国の道をひらくために
人の歩む道も国の歩む道も結局同じことではな
もう一度この国のよさを見直してみたい。
そして、日本人としての誇りを、おたがいに持ち直してみたい。考え直してみたい。
道をひらく, 日本よい国, p271
これまでは「個人の道」に関する教えでしたが、「国の道」についても真理は同じです。
民主主義の国である日本は、他人まかせになることはなく、わが道と同じように国の道についても、一人ひとりが考える必要があるのではないでしょうか。
国を良くするため、平和な世の中のため、という心を忘れず。
日本という国と国民のよさに誇りをもって、日々を生きていきたいものですね。
悩めるあなたの『道をひらく』1冊になる
あなたが生きる道に迷ったら。
『道をひらく』を手にしてください。
本日ご紹介した内容は、筆者「きつね」の心に残った文章をかいつまんでお伝えしたもの。
あなたにしか響かない文章をきっとあるはずです。
人生に迷うことがあればパラパラと開いて、「道をひらく」きっかけを得られるようにぜひお手に取ってみませんか?