コンサルとして一番辛い期間はアサインされないときではないでしょうか。
暇な時間が続くと「自分って必要とされているのかなー」とか考えてしまいます。
でも、そんなときこそキャリアアップのチャンスです。
あなたの才能を開花させる「アサインされないコンサルだからこそ行うべき、アベイラブル期間の過ごし方」をご紹介します。
コンサルティング業界におけるアベイラブルとは
まずはアベイラブルとは何かを説明します。※ご存知の方は読み飛ばしてください。
アベイラブルの説明
アベイラブルはavailableという英単語がもとになっています。
英単語としての意味は、「(すぐに)利用可できる」という意味です。
この英単語がコンサルティング業界で使われるときは、「コンサルタントとして、すぐに利用可能」=「プロジェクトに参画していない」ことを意味します。
つまりは待機中ということ。
社内で職探しの状態になります。
アベイラブルによる影響(給料・評価・キャリア)
コンサルタントといっても、大半の人が会社員。
たとえアベイラブル期間があったとして、給料自体は支払われます。
一見すると給料をもらいながら、仕事をしなくてもよいという「願ったり叶ったり」の状態です。
ですが、このアベイラブル期間が続くとコンサルタントとしての評価(正確には社内評価)がどんどん悪化していきます。
コンサルタントというのはクライアントを支援する対価としてフィーをいただきます。
アベイラブル期間は当然ながら、クライアントを支援するプロジェクトに参画していないのでフィーをいただいていない。
にもかかわらず、給料は支払われる。
その給料は他のコンサルタントが得たフィーから捻出されている構図。
コンサルティングファームの経営目線に立てば、こんな状態が受け容れられるはずがありません。
誰かに給料を稼いでもらっているコンサルタント、となれば当然に人事評価は下がっていきます。
翌年度以降の報酬・給与に影響を与えるわけです。
さらに報酬・給与面のみならず、こちらも当然にキャリア形成上も悪影響が出てきます。
アベイラブル期間は長くても1か月が普通です。
プロジェクトが月初に始まることも多いためです。
N月に前のプロジェクトが終わったとしたら、N+1月にアベイラブル期間としてアサイン面談や次のプロジェクト参画に向けたキャッチアップを行います。
そして、N+2月に新しいプロジェクトに参画する。
このサイクルが1年に1回程度であれば大きな問題はありません。
しかし、「アベイラブル期間が長い・アベイラブルになる頻度が多い」という場合は注意が必要です。
間接的に「使えないコンサルタント」という風に評価されていきます。
仕事ができないと評されるコンサルタントには、キャリアアップに繋がるプロジェクトの話はなかなか来ないのが実態でしょう。
ファームとしても仕事ができないコンサルタントには、難易度が低いが最低限の給料分を賄えるプロジェクトに参画してもらうか、見込みがなければ「辞めてもらう」ことを遠回しに促すしかなくなってしまいます。
仮に難易度の低いプロジェクトに参画できても、年齢が上がるに連れて、社会的に期待される役割などは自然と上がっていきます。
でも、実際に声がかかるのは難易度の低いプロジェクト。
そこには自分より若いけど優秀なコンサルタントがリーダーとして活躍している。
このような実態が、コンサルタントとしてのキャリアを閉ざすことに繋がってしまう方は一定数存在するでしょう。
アサインされないのはこんなコンサル
コンサルタントのプロジェクト参画に際し、アサイン面談ということが行われるのが常です。
プロジェクトを率いるマネージャー以上のシニアなコンサルタントが、メンバーとして迎え入れるコンサルタントを面談します。
アサイン面談を通して「プロジェクトメンバーとして期待する役割を果たせるのか」を判断します。
また、プロジェクトに参画することで被面談者であるコンサルタントが活躍し、将来的 なキャリアにプラスになるかという点も検討の俎上に上げます。
面談観点としては、主に以下となっています。
アサイン面談における確認観点
- スキル
- 経験
- 知識
- パーソナリティ(性格・キャラクター)
- キャリアプラン
面談下手
問題は被面談者であるコンサルタント側が面談下手だったとき。
面談を受けるコンサルタントが自身のスキルやパーソナリティの良さ、ないしはプロジェクトへの適合度を伝えることができないというケースが考えられます。
正直なところ、こういった面談というのは得手不得手もあります。
が、コンサルタント自身がクライアントに評価される仕事である以上、自社のシニアなコンサルタントに対してもアピールできないとプロジェクトに参画したとしても不幸になります。
対策としては、いわゆる面接対策しかないでしょう。
アサイン面談だからと特別なことはなく、就職・転職面接と同じように自身の強み・弱みなどを踏まえて「どう活躍できるか」をアピールする。
この練習を行うに限ります。
慣れも大きな要素です。
なので、社内外にアサイン面談をする立場のシニアなコンサルタントと繋がりがあるようでしたら面談練習をお願いすることが最善策だと思います。
スキル/経験/知識不足
ここからはアサイン面談時の確認観点を細分化した理由説明になります。
「うまくアピールはできるのだけど・・・」という前提になります。
まずは、最も理由として多いであろう「スキルアンマッチ系」です。
スキル/経験/知識。
これらがプロジェクトの一員として求められる役割に適していないのであれば、致し方ありません。
アサイン面談を組む時点である程度のフィルタリングはなされているものです。
しかしながら、実際に面談をすることで期待役割を果たせないと判断されることもあります。
単純に「他の候補者の方が良かった」ということも当然にあります。
もしも、この記事を読んでくださっているあなたが若手コンサルタントであれば、そこまで気にする必要はありません。
「愚直に自己研鑽を続けていくことで、引く手あまたの人気コンサルタントになれる可能 性は充分にあります。
一方、ある程度の年齢(30代半ば以上が目安)で「スキルアンマッチ系」が理由に「アサインされない⇒アベイラブル期間が長引く」のであれば、キャリアについて考え直した方がよいタイミングかもしれません。
コンサルタントにおける30代はマネージャー以上として、プロジェクトをリードする役割が求められます。
そのような業界風潮において、30代半ばを超えてもスキルアンマッチを理由に「アサインがされない・いつもアベイラブル」という状況だと、そもそも働く環境が適していない可能性が高いです。
中長期的視点で考えて、キャリアプランを考える良い機会だと思います。
- コンサルティング業界に留まるのが良いのか
- 他の業界に転職した方が良いのか
- 現在のファームに留まるのが良いのか
- 独立した方が良いのか
上記のようなことが考えられるでしょう。
性格に難あり
この点は単純に「一緒に働きたいと思えるか」です。
ケースとしては2つに分類できます。
1つは、いくら優秀でも人として一緒に働きたくないケース。
もう1つは、プロジェクト全体を考えて「性格的にはまらない」と判断されるケース。
前者は職人気質な方に発生する可能性があります。
「実力があれば問題ない」という考えをお持ちの方ですね。
性格難を補って余りあるような、ずば抜けた実力があれば問題ないのですが、そんな人材は稀。
特にコンサルティング業界においては。
素養として優秀な人材が集まりやすく、そこから自己研鑽を続けるプロフェッショナルが集まる業界。
ずば抜けた実力を維持し続けることは難しいのが実態かと思います。
とは言え、生まれ持った気質も影響してくるので、一概に悪いとも言えないですね。
このケースにおいても、もしかしたら転職を考える良い機会かもしれません。
次に、後者の「性格的にはまらない」ケース。
完全に運が悪かっただけですね。笑
「同じテーマの、他クライアントであれば問題ないけど、今回に限っては」という感じです。
クライアント企業にも社風や文化があります。
体育会系なのか、理知的なサイエンス集団なのか、和気あいあいとした雰囲気なのか。
そこに合うか合わないか、というだけなので特に気にする必要はないと思います。
こだわりが強い
補足すると「キャリアに対する」こだわりが強いケースです。
自身の描くキャリアプランを実現する為にアサイン面談自体を受けないとか、アベイラブル期間が延びたとしても長い目でみて得たい経験があるから気にしないケース。
前向きな判断ではあるのですが、プロジェクトに参画していないという点は紛れもない事実。
社内評価という意味では、望ましいことではありません。
「中長期的なキャリアプラン・キャリア形成」と「短期的な人事評価」のバランスですので、自身の判断であるなら問題はないかと思います。
懸念はアベイラブル期間を延ばすことで、望むようなプロジェクトの話が来るか。
ファームとして力を入れているプロジェクトであれば良いですが、例えば「組織・人事改善のコンサルタントとしての経験を積みたい」と思っているのにIT系のファームに在籍していても意味がない、ということです。
アベイラブル期間中にキャリアプランについて悩むようでしたら、他のコンサルティングファームについて考えてみてください。
一度、真剣に考えることで、あなたのキャリアが拓かれるはずです。
社内営業力不足
社内営業力と題しましたが、要は「アサイン面談のお声が掛かるか」ということ。
社内的に埋もれているという感じ。
アサイン面談を組もうとなったときに、面談候補者の俎上にすら上がらない。
もちろんファームとしてコンサルタントを売り込んでいくのですが、一定の人脈形成をしていって、顔を売っておく活動が必要になります。
社内営業力が高かったり社内人脈形成がなされていると、アサイン面談を組みやすくなったり、バイネーム(面談なんかを組まずに指名買い)で引き合いが来るようになります。
特別意識せず、仕事を普通に行っていきながら、勉強会や社内サークルに参加すると効果的に人脈形成ができますよ。
アベイラブル期間おすすめの過ごし方
ここから、おすすめアベイラブル期間の過ごし方をご紹介します。
早くアサインされたい場合
アベイラブル期間をなるべく短くしたいという考えの方ですね。
社内人脈を使ってアサイン面談を組んでもらうように駆け回るのが最優先。
そして、自身のキャリアプランなどもいったんは脇に置くという心がけが必要です。
あとは「提案のお手伝いをする」というのが優良な手です。
新しくプロジェクトを立ち上げる前にクライアントに提案をするという段階があります。
ほぼほぼプロジェクト受注が決まっている前提の形式的な提案もあれば、コンペのように他社と競い合う本格的な提案もあります。
特に後者の場合は提案資料を作成するためのリサーチだったり、資料作成の作業者が不足するケースが多いです。
そこに「提案手伝いたいです!」というコンサルタントがいるのであれば、使わない手はありません。
うまくいけば、提案が通ったときにアサイン面談をパスして「お手伝いメンバーをそのままプロジェクトメンバーとして採用」という流れもあり得ます。
ただ、少しリスクもあります。
- 提案資料作成時にうまくパフォーマンスを出せない
- 提案自体が通らない
こうなってしまっては提案が終わった時点でメンバーとして参画できることはないでしょう。
自己研鑽をしたい場合
焦ってはいないけど何か勉強をしたいという方です。
過去に参画していたプロジェクトで実力不足を感じたとか、新しいキャリアの方向性が見えた場合は、アベイラブル期間を使って自己研鑽をする場合があります。
アサイン面談自体は少し受け身で待つような感じです。
この期間があまりにも長いと人事評価としては「稼げないコンサルタント」と見なされてしまうのですが、長い目でみて自身のキャリアプランを実現するための投資期間と捉えれば問題ないと思います。
自己研鑽にも色々とありますが、大きくは3つに分けられると思います。
- 強みの強化
- 弱みの補強
- 視野を広げるためのインプット
当然に人によって行うべきことは変わりますが、どこかのタイミングで「体系的な知識を学ぶ」ことには挑戦をしていただきたいです。
そんなときの参考になる記事をまとめています。



リフレッシュしたい場合
がんばったので休みたいというシンプルな話です。笑
有給休暇が余っているのであれば、申請してしっかりとリフレッシュしましょう!
夏季休暇や冬季休暇と繋がる形で有給休暇を取得できて、かつ、アベイラブル期間であれば、かなりのリフレッシュとなります。
自己研鑽とリフレッシュを兼ねて、アベイラブル期間中にフィリピンへ語学留学に行きました。
転職したい場合
アサイン面談の話が来ても断るか、面談を組まれても採用されないように振舞ってください。
転職活動を開始したばかりだったり、内定を正式にもらう前に面談に参加してアサインが決まってしまうと、後々面倒になってしまいます。
可能であれば、有給休暇を取得して転職活動を行うことをおすすめします。
コンサルティング業界の転職やポスト・コンサルタント転職に特化した アクシスコンサルティングにご相談するのが良いでしょう。
筆者「きつね」が実際に転職相談をしたときの体験談はこちらの記事にまとめているので、「いきなり登録するのは・・・。」と思う方は一度ご覧になってから決めてください!

コンサルタントとして開花するかはアベイラブル期間の過ごし方次第
一般的な事業会社と比較して、コンサルタントという職業は自身でキャリアを切り開いていくことが求められます。
「個人事業主の集まり」のような側面もあるので、自立したキャリアプラン構築や継続的なスキルアップが欠かせません。
もちろんスキルだけではなく、プロジェクトや組織を率いていく立場でもあるので人格面も磨いていくことが求められます。
ですが、一度プロジェクトにアサインされると忙しい日々を過ごすことで、キャリアについて時間をかけて考える機会は得にくいものです。
アベイラブル期間というのは、忙しいコンサルタントが自身の人生やキャリアを見つめなおす良い機会です。
せっかくの機会を無駄にしないように、今回ご紹介した過ごし方を参考に、悔いのないコンサルタント人生を送ってください。
いつも思うのは、どれだけ才能があって本来は優秀な人材でも、環境次第では活躍するチャンスも成長する試練の場も得にくいということ。
あなたに適さない環境に身を置きつづけることで、人材としての市場価値が下がってからでは遅いのです。
