マネージャーとして活躍している人は、何故かクライアントや部下の状況を本当によく理解しています。
これまでの経験や知識・スキル。
現在のタスクの状況は当然に、プライベートの状況まで雑談の中からポジティブかネガティブかをざっくり把握している。
優秀なマネージャーはステークホルダーの状況を常に意識しているのです。
それが仕事の成果に繋がることを知っているから・・・。
「マネージャー」として「仕事ができる」とは
「仕事ができるようになるには」
ビジネスパーソンとして誰しもが一度は考えることだと思います。
私も新人時代は毎日のように考えて、反省して、本を読んで実践して・・・。
その繰り返しと上司からの厳しくも温かいご指導を受けて、クライアントからも評価頂く程に成長できました。
同じような悩みを持つ方は年齢問わずにいらっしゃることでしょう。
しかし、その立場や経験によって「仕事ができる」ということの捉え方が変わってきます。
今回から「作業者」としてではなく
「マネージャー」という役割を求められる方を念頭にした「仕事ができる人」が備えている特徴を5つお伝えしていきます。
これまで私が出会ったマネージャー以上のコンサルタントに共通している特徴です。
- 頭の中にプロジェクト俯瞰図がある
- 目的からの逆算ができる
- 相手の思考を想像できる
- 関係者の力量や負荷状況を把握している
- 人を大事にしつつ衝突を恐れない
以上5点が、私の出会った優秀なコンサルタントの方々が備えていた特徴です。
仕事ができる人の特徴④:関係者の力量や負荷状況を把握している
プロジェクトやチームを率いるマネージャーには、プロジェクト関係者の実力や心身の健康を考慮したタスクの割り振りが求められます。
しかし、他人の実力や心身の健康状態を把握するというのは「言うは易く行うは難し」です。
管理責任者としてプロジェクトを成功させると共に、特にメンバーに対してはモチベーション管理やメンタルヘルスケアなども求められます。
モチベーションやメンタルヘルスケアに関して、心理学的知見に基づいた専門理論(動機付け理論や職業性ストレスモデル等々)はたくさん存在しています。
「これらの理論が頭に入っていればメンバーへの接し方や管理にヒントを得られるのではないか。」
そのように思われる方もいらっしゃるでしょう。
もちろん、心理学的知見に基づいた専門理論を知っているに越したことはないのです。
でも難しいことを考え過ぎず、自分専用の「ステークホルダー管理簿」と「定期的な非公式面談」でメンバーの実情を把握しましょう。
ステークホルダー管理簿
まずはプロジェクトマネジメントとして基本的なお話からです。
プロジェクト体制図や組織体制図などからステークホルダー(プロジェクトに関係する人や組織)の役割・印象・期待を整理しましょう。
形式的な体制図はどのプロジェクトにも存在すると思います。
体制図から一段階深掘りした自分専用の「ステークホルダー管理簿」を作成するのです。
自分が直接関わった人について以下のことをメモしていくのです。
要素 | 内容 |
---|---|
氏名 | そのままですが、自分が分かれば良いので愛称でも良いです。 |
所属 | 組織体(会社名やチーム名)を記載してください。 |
役割 | 所属している組織における役割や果たすべき責任です。ここまでは形式的な情報です。 |
印象 | あなたの抱く印象を書いてください。 「話しやすそうなのか・とっつきにくいのか」程度でも構いません。 |
期待 | 「この人がこう動いてくれたら」という期待です。 あくまでプロジェクト推進に寄与する内容である必要があります。 |
形式的なステークホルダーマネジメントではなく、自分がプロジェクト推進していくことを考えるのであれば、自分が直接関与できる人に対する実情把握に労力を割いた方が効果的です。
上記5点について、自分の理解をそのままに書いてください。
そして、印象や期待の通りに関係者がプロジェクトに影響を与えているのかそうでないのか、暫く観察してください。
そうすることで相手の実情が見えてきます。
また「数カ月前は期待通りだったのに、最近は少し・・・。」という違和感を感じたら、相手の身に何か起こっている予兆かもしれません。
これは公式的な資料ではなく、自分用の資料です。
テキストでもExcelの表でも良いです。
ですが、保存場所は少なくとも自分専用ストレージに留めておくことをオススメします。
「定期的な非公式面談」のすすめ
メンバーの状況を把握するためには、日頃の人間関係も重要ですが「非公式面談」を実施することがオススメです。
前提として、人事評価には影響を与えないことを伝えましょう。
「非公式」という意味はこの点にあります。
人事評価としての面談だと意識させてしまうと、本音での会話ができなくなります。
部下が安心して本音を話せるように人事評価に直接的な影響はないことを明言しましょう。
もう1つのポイントはあくまでも話す主体は部下であるという点です。
非公式面談は「上司としてのあなたが部下であるメンバーのことを聞かせてもらう場」です。
上司は聞き役に徹するつもりで、共感や同調といった傾聴スキルを駆使して部下の悩み事や不満・不安、もしくは仕事への意気込みや意欲などを引き出してください。
非公式な面談であればこそ、人と人との会話ということで本音が伺える機会が増えていきます。
最初は部下も警戒するでしょうが、面談を繰り返していく内に徐々に心を開いてくれます。
非公式という前提付きでも心の壁があると感じた場合は、あなたの方から本音を語ってみましょう。
「実は最近、疲れが取れなくてね・・・。」
「やっぱりプロモーションを考えているときは楽しいな!」
このように自己開示をしていくと、少しずつですが相手も「私も話そうかな」という気持ちになってきます。
ぜひお試しください。
メンバーからの「謝罪」が増えたら要注意
日頃のコミュニケーションや非公式面談をするときに、意識していただきたいことがあります。
それは「謝罪の言葉は増えていないか」ということです。
負荷が高まり疲労が溜まると自尊心が低くなりがちです。
これは自分の体験談ですが、心身ともに疲労が溜まっていたときは、明らかにメールでの謝罪文面が多くなっていました。
仕事の手伝いをお願いするときも、普段なら「ありがとうございます」なのに、疲れているときは「申し訳ないのですが」という言葉を使っていることに気付きます。
私は自身の謝罪が増えたら危ないサインだと知っていますが、知らない方もいらっしゃるでしょう。
あなたの部下もそのことを知らない可能性があります。
日頃から部下の謝罪が増えていないかを意識して、あなたが気付いてあげてください。